2012年9月16日日曜日

黒部川 上ノ廊下 遡行(1)

9/6 黒部ダム~奥黒部ヒュッテ テン場C1
9/7 奥黒部ヒュッテ~金作谷出合~1692地点の先C2
9/8 C2~立石~A沢出合~薬師沢小屋
9/9 薬師沢小屋~赤木沢~黒部五郎岳~三俣山荘テン場C4
9/10 C4~三俣蓮華岳~双六小屋~鏡平~小池新道~わさび平~新穂高温泉


黒部、念願の上ノ廊下へ。
一昨年は大雨のため中止、昨年は増水もあり、最初の徒渉もできずに東沢へ転進。
3年越しの今年は、遡行時期も考慮し、そして体力面での準備もおこたりなく、万全の心構えで臨んだ。あとは天気を祈るのみ。

9/6
黒部ダム(8:00)~平の渡し(12:00)~奥黒部ヒュッテ(14:00) 
「山を想へば人恋し、人を想へば山恋し」百瀬慎太郎の記念碑のある信濃大町駅を今年も朝一のバスで出発。
昨年の記憶もまだあたらしく、奥黒部ヒュッテへの道を辿る。平の渡しまでは雨。昨年を彷彿とさせる天気だ。しかし、12:00の船に乗り込んで対岸に渡っている最中に雨が上がる。
奥黒部ヒュッテについた頃は晴れ間も覗く。小屋の方に聞くと、ここ2日で雨があり、少し増水しているかも、とのこと。明日の天気を案じながらテントに入る。

9/7 
奥黒部ヒュッテ(6:30)~口元のタル沢先のゴルジュ(9:30)~廊下沢出合(10:00)~スゴ沢出合(11:00)~上ノ黒ビンガ (11:20)~金作谷出合(12:40)~C2(15:00)
6:30。晴れ。今年こそはという思いが高まる。東沢を下降しいよいよ最初の徒渉。去年はここすらも渡れなかった。緊張が走るが、今年はやはり水量が少なく、スクラムで難なく渡り終える。これからが勝負なのだが、なんだかちょっとした感動を覚える。
朝の谷。上ノ廊下に降り立つ。今年は最初の徒渉に成功。

上ノ廊下に来られたことを実感しながら広い河原を進む。透明な水が、朝の陽にきらめく。光が差し込んだ谷はとてもきれいだ。

一時間ほど歩くと、そそり立つ下ノ黒ビンガが見えてくる。木々に囲まれた岩は垂直にそそり立つ。大迫力の景観を眺めながら進む。
下ノ黒ビンガが見えてくる。

9:30。順調に進み、一番の難所である口元のタル沢の先のゴルジュに到着。やはり水量が少ないようで、右岸の進めるところまで進み、途中から左岸に胸まで徒渉。相方がロープをつけ、左岸をへつる。最後はロープが足りなくなり、水心を避けて飛び込み、泳いで右岸に渡り突破。ここは時間を要すると思っていたが順調に突破できた。

核心部。口元のタル沢の先のゴルジュ。水量も少ないようだ。


深い淵は緑色が美しく、岩肌を削り滝が流れ込んでいるのも印象的だ。

ずぶ濡れとなり、日なたが恋しく歩を進めると間もなく廊下沢が出合い、旧黒五の広々とした河原へと着いた。今日の核心を過ぎ、そして開けた景観になごむ。行く先には北薬師から連なる稜線が見えてくる。

旧黒五。開放的な風景になごむ。

やがて、一枚スラブのスゴ沢を見送ると、いよいよ上ノ黒ビンガが登場。この圧倒的なスケール感。両側にせまる屏風、切り立つ岩肌をを縫って流れ落ちる滝。不思議な大自然の造形。

圧倒的なスケールの上ノ黒ビンガの岩壁

上ノ黒ビンガ。滝が岸壁の間から流れ落ちてくるようだ。


12:40 夢中になって歩き、気がつくとすでに金作谷の出合。金作谷は彼方上方に雪渓が残っている。一息ついて、金作谷の先のゴルジュを突破したところまで今日は進むことにする。

清冽な水と白い花崗岩が織りなすゴルジュを2度ほどの泳ぎと飛び込みを交えてクリア。スゴの淵の目前のところでテントを張ることにする。

薪は豊富。焚火で暖をとる。山頂の方の雲が稲光に反射し、雷鳴もなく時折フラッシュのように光っていたが、やがて雲も去り、星がでる。天の川も見え、寝転がっていると1つ2つと星が流れる。流星を見たのは何年ぶりだろう。満天の星空で充実した一日を終えた。

金作谷の先のゴルジュ。

岩と木々が織りなす独特の風景





(以降、黒部川 上ノ廊下 遡行(2)へ)









 

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